「久留米市から、所有する空き家について通知が届いた」
「実家は何年も空き家のままだけれど、何をすればいいのかわからない」
「指導や勧告という言葉が書かれていて、今後どうなるのか不安」
こうしたご相談の背景には、建物の老朽化だけでなく、相続や所有者の問題、ご家族の事情など、さまざまな要因があります。
特に、親や祖父母から引き継いだ住宅については、遠方に住んでいて管理が難しい、相続手続きが終わっていない、親族間で今後の方針が決まっていないといったケースも少なくありません。
市役所から文書が届いた場合、まず大切なのは、通知の内容を正確に確認し、今の状況に合った対応を考えることです。
この記事では、久留米市の空き家対策や法律上の仕組みを踏まえ、通知・指導・勧告の違い、放置した場合の影響、相続が関係する場合の対応について、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
1.なぜ市役所から空き家について通知が届くの?
誰も住んでいない建物であっても、所有者等には適切に管理することが求められます。
例えば、次のような状態が問題になることがあります。
- 屋根材や外壁の一部が傷み、落下するおそれがある
- 庭木や雑草が伸び、隣地や道路にはみ出している
- 建物の一部が破損し、周囲の安全に影響するおそれがある
- ごみの放置や害虫の発生など、衛生面の問題が生じている
- 長期間管理されず、建物の状態が悪化している
こうした状況について、近隣住民から市へ相談が寄せられたり、市の調査によって管理上の問題が確認されたりすることがあります。
その結果、所有者等に対して、現状の確認や改善を求める文書が送付される場合があります。
ただし、市役所から通知が届いたことと、法律上の「勧告」を受けたことは同じではありません。
最初の連絡が、管理状況の確認や改善をお願いするものである場合もあります。
文書の表題だけで判断せず、発行元、法的根拠、求められている対応を確認することが重要です。
2.「管理不全空家等」と「特定空家等」は何が違う?
空き家対策の基本となる法律が「空家等対策の推進に関する特別措置法」です。
2023年12月に施行された改正法により、従来の「特定空家等」に加えて、「管理不全空家等」に対する指導・勧告の仕組みが設けられました。
管理不全空家等とは
適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家を指します。
例えば、建物の一部に傷みが見られ、今後さらに状態が悪化することが懸念されるような場合です。
市区町村は、法律に定められた要件に従い、所有者等に対して必要な措置を指導し、状態が改善されない場合などには勧告を行うことがあります。
特定空家等とは
放置すると倒壊等の危険がある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態など、法律に定められた状態に該当する空き家です。
こちらは、法律に基づく助言・指導や勧告に加えて、所定の要件を満たす場合には命令、行政代執行などの措置につながる可能性があります。
重要なのは、空き家だからといって、すべての建物が管理不全空家等や特定空家等になるわけではないという点です。
建物の状態や周辺への影響などを踏まえ、法令や自治体の基準に基づいて判断されます。
3.指導や勧告を放置するとどうなる?
通知が届いても、「すぐに対応できない」「遠方なので様子を見たい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、問題を放置することで建物の劣化が進み、必要な対応が大きくなるおそれがあります。
また、法律上の措置が進んだ場合には、税負担や行政上の手続きに影響することがあります。
勧告を受けると固定資産税に影響する場合がある
住宅の敷地として利用されている土地については、一定の要件の下で固定資産税・都市計画税の「住宅用地特例」が適用されます。
このうち固定資産税について、小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分)には、課税標準を6分の1とする特例があります。
しかし、管理不全空家等や特定空家等について、空家法に基づく勧告を受けた場合、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されることがあります。
そのため、翌年度以降の固定資産税等の負担が増える可能性があります。
ただし、「勧告を受けたら固定資産税が必ず6倍になる」という説明は正確ではありません。
実際の税額は、土地の評価額、負担調整措置、課税状況、賦課期日である1月1日時点の状態などによって異なります。
通知や指導の段階で直ちに住宅用地特例が失われるわけでもありません。
どの段階の措置を受けているのかを確認することが大切です。
さらに行政上の措置が進む場合も
特定空家等については、法律に基づく勧告後も必要な措置が講じられず、所定の要件を満たす場合、命令や行政代執行の対象となることがあります。
行政代執行が行われた場合、法令に基づいて所有者等に費用が請求されることもあります。
なお、管理不全空家等に対する指導・勧告と、特定空家等に対する命令・行政代執行は、法律上の位置付けが異なります。
通知を受け取っただけで、直ちに建物が強制的に解体されるということではありません。
4.久留米市から通知が届いたら、まず確認したい5つのこと
市役所から文書が届いた際は、次の点を整理してみましょう。
① 文書の種類と発行元
単なる管理依頼なのか、法律に基づく指導・勧告なのかを確認します。担当部署や連絡先も確認しておきましょう。
② 指摘されている問題
屋根、外壁、樹木、雑草、敷地内のごみなど、具体的に何が問題とされているのかを確認します。
③ 回答や改善の期限
文書に回答期限や改善期限が記載されていないか確認してください。期限が示されている場合、対応できる見込みも含めて早めに担当部署へ連絡することが重要です。
④ 建物の所有関係
登記上の所有者が誰なのか、すでに亡くなっている場合は相続手続きがどこまで進んでいるのかを整理します。
⑤ 今後の希望
修繕して維持したいのか、売却したいのか、解体したいのか。ご家族の意向も含めて、今後の方向性を考える必要があります。
すべての答えを最初から用意する必要はありません。
まずは、今わかっていることと、まだわからないことを分けるだけでも、次に取るべき行動が見えやすくなります。
5.相続した実家の場合、問題が複雑になることも
空き家の相談で特に注意したいのが、亡くなった親族の名義のままになっている不動産です。
例えば、祖父母が亡くなった後も相続手続きを行わず、その後、子ども世代にも相続が発生していた場合、関係する相続人が増えている可能性があります。
このようなケースでは、建物の管理や処分を検討する前に、相続関係や必要な同意・手続きを整理しなければならないことがあります。
相続人が誰なのかわからない場合
戸籍等を確認し、法定相続人を調査することから始めます。
相続人が複数いる場合は、それぞれの関係や連絡状況を確認し、今後の手続きに必要な資料を整理します。
相続人が遠方に住んでいる場合
相続人の所在や連絡状況を確認しながら、必要な書類の準備や手続きの進め方を検討します。
ただし、相続人間で意見が対立している場合など、紛争に関する交渉や解決が必要なケースでは、弁護士への相談が必要です。
相続登記が終わっていない場合
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されています。
原則として、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。
また、2024年4月1日より前の相続についても対象となり、一定の場合には2027年3月31日が申請期限となります。
正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
なお、相続人が多いなどの事情により、すぐに遺産分割や登記を進めることが難しい場合は、相続人申告登記という制度が利用できることもあります。
相続関係の調査や遺産分割協議書などの作成については行政書士が対応できる場合がありますが、相続登記の申請代理等は司法書士の専門業務となります。
6.空き家は「解体する」以外にも選択肢があります
市役所から空き家の管理について通知が届いたからといって、必ずしも解体が唯一の解決策になるわけではありません。
建物の状態や所有関係、ご家族の希望に応じて、複数の選択肢が考えられます。
修繕・管理を続ける
建物を今後も維持したい場合には、必要な修繕や樹木の伐採、定期的な管理などを検討します。
売却する
今後利用する予定がない場合は、売却も選択肢の一つです。
ただし、相続登記や権利関係の整理が必要になる場合があります。
賃貸・活用する
建物の状態や立地、関係法令上の条件によっては、賃貸住宅や事業用物件として活用できる可能性があります。
解体する
老朽化が進み、建物の維持が難しい場合には、解体を検討することもあります。
ただし、解体後は土地に対する住宅用地特例の適用状況が変わることがあるため、費用だけでなく税負担への影響も含めた検討が必要です。
また、久留米市には一定の要件を満たす老朽危険空家等の除却を支援する制度がありますが、すべての空き家が対象となるわけではありません。
補助金の利用を検討する場合は、工事の契約や着工前に最新の要件を確認することが大切です。
7.空き家の相談は、誰にすればいい?
空き家の問題は、一つの専門分野だけでは解決できないことがあります。
例えば、相続関係を整理するための書類作成は行政書士、不動産の相続登記は司法書士、建物の修繕や安全性の確認は建築士や施工業者、不動産の売却を依頼する場合は宅地建物取引業者など、それぞれ役割が異なります。
税務上の判断が必要であれば税理士、相続人間で紛争がある場合などは弁護士への相談が必要になります。
大切なのは、最初からすべてを一人で判断しようとするのではなく、現在の問題を整理して、必要な専門家や相談先につなげていくことです。
行政書士権藤涼太事務所では、久留米市を中心に、空き家の相続関係の調査、遺産分割協議書等の作成、行政提出書類の作成支援など、行政書士として対応できる範囲でご相談を承っています。
必要に応じて、他の専門家や関係事業者へのご紹介・連絡調整についてもご相談いただけます。
また、当事務所は福岡県行政書士会くるめ支部の空き家・空き地相続問題研究チームの協力事業所として、久留米市の「アキヤサポーターズ」に掲載されています。
※久留米市の公的相談制度を利用する場合は、市が指定する受付方法が必要です。当事務所への直接相談とは受付方法が異なります。
8.まとめ|空き家の通知は、問題を整理するきっかけに
久留米市から空き家について通知が届いたとき、すぐに解決方法が見つからなくても、必要以上に慌てることはありません。
一方で、内容を確認せず、長期間放置することは避けたいところです。
まずは、どのような問題が指摘されているのか、誰が対応する必要があるのか、今後どのように管理・活用していきたいのかを整理することが大切です。
空き家の問題には、建物そのものの問題だけでなく、家族の歴史や相続、これからの暮らしに関わる事情が重なっていることもあります。
「何から始めればよいかわからない」という段階から、一つずつ整理していきましょう。
久留米市の空き家についてお困りの方へ
市役所から通知が届いた方、相続した実家の管理に困っている方、売却や解体、活用について検討したい方へ。
行政書士権藤涼太事務所では、現在の状況をお伺いし、必要な書類や行政手続き、専門家との連携についてご案内しています。
空き家の問題は、必ずしもすべての方に同じ解決方法があるわけではありません。
まずは現状を整理するところから、ご相談ください。
行政書士権藤涼太事務所
福岡県久留米市花畑3丁目3-14
※行政書士が取り扱えない登記申請代理、税務相談、不動産取引の媒介、紛争対応等は、必要に応じて該当分野の専門家をご案内します。
VACANT HOUSE SUPPORT
一緒に考える。
市役所からの通知、相続した実家、
管理や活用に困っている空き家。
まずは今の状況を整理することから始めませんか。
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参考資料・関連する公式情報
法令・制度に関する情報は2026年11月1日時点で確認したものです。個別の行政措置、税額、補助金の利用可否等については、対象物件の状況や所管機関の判断によって異なります。

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