【2025年10月デジタル化対応】久留米市で遺言書作成|自筆・公正証書・法務局保管の選び方と費用完全ガイド

目次

— 久留米市民向け・実務で迷わない選び方ガイド —

「自分がいなくなった後、家族が困らないように」。その想いを確実に届けるのが遺言書です。ただし、種類によって”手間・コスト・確実性”が大きく違うのが現実。ここでは、久留米の方が実務で迷わないように、自筆証書遺言・公正証書遺言・(自筆+)法務局保管制度の三本柱を、行政書士の視点でやさしく整理します。


1. まずは全体像:三つの方式のちがいと費用イメージ

各方式の特徴

  • 自筆証書遺言:自分で全文を手書きして作る方式。費用は最小だが、書式不備や紛失のリスクがある。民法の方式の定めに従う必要がある(加除訂正の仕方、日付・署名押印など)。
  • 公正証書遺言:公証人が作成・原本保管。形式不備のリスクが低く、相続開始後の検認が不要。費用は財産額等で変動。
  • (自筆+)法務局保管制度:自筆証書遺言を法務局に預ける制度。改ざん・紛失を防げ、検認不要になる。手数料は1通3,900円。

費用の目安(財産5,000万円・相続人3名の場合)

方式費用総額の目安内訳
自筆証書遺言(自宅保管)0~3,000円紙・封筒代のみ
自筆+法務局保管約5000円〜10,000円保管手数料3,900円+書類取得費
公正証書遺言約10万円〜公証人手数料約6万円+証人費用2万円+書類取得費

ポイント:「確実性」重視なら公正証書、「コスト」重視なら自筆+保管、まず書き始めたいなら自筆で草案→専門家チェック→最終方式を決める、が現実的です。


2. 自筆証書遺言:最も手軽。だが”書式”が命

概要と長所

  • 紙とペンがあればすぐ作れる。費用は最小。
  • 誰にも知られずに作成可能(プライバシー配慮)。

注意点(ここが落とし穴)

  • 方式不備は無効のリスク。日付の書き方や訂正方法ひとつでアウトになることも。
  • 自宅保管だと紛失・改ざんの恐れ
  • 相続開始後に**家庭裁判所の「検認」**が必要(後述)。

こんな人に向く

  • 費用を極力抑えつつ”まずは意思を形に”したい人。
  • その後、法務局保管や公正証書化に進む前提の”たたき台”として。

3. 公正証書遺言:確実性と運用のラクさで最有力

概要と長所

  • 公証人が関与して作成。原本は公証役場で長期保管。
  • 検認が不要なので、相続手続きがスムーズ。
  • 方式不備リスクが極小で、争い予防効果が高い。

【NEW!】2025年秋から公正証書がデジタル化へ

2025年10月から順次、公正証書遺言の手続きが大きく変わります!

デジタル化で変わること

項目現在(~2025年9月)デジタル化後(2025年10月~)
申請方法公証役場に直接訪問インターネットで申請可能
本人確認印鑑証明書を持参マイナンバーカードで電子認証
作成方法公証役場で対面ウェブ会議でリモート作成も可能
署名紙に実印押印タブレットで電子署名
原本保管紙で保管電子データで保管
正本・謄本紙で交付電子データor紙を選択可能

リモート作成の利用条件

  • パソコン(Windows10/11又は最新3つのMacOS)
  • 電子ペン対応ディスプレイやペンタブレット
  • 公証人が相当と認めること
  • 全員の同意が必要

新しい手数料体系(変更予定)

  • 電子データによる正本・謄本:1通2,500円
  • 紙の書面による交付:用紙1枚あたり300円
  • 養育費等の算定期間:最大5年分に短縮

メリット

  • 遠方の方や体調不良の方も自宅から作成可能
  • 手続きの時間短縮・効率化
  • 災害時も電子データなら安心
  • ペーパーレスで管理が簡単

※ただし、すべての公証役場で同時スタートではなく、指定公証役場から順次導入予定です。久留米公証役場の対応状況は事前にご確認ください。

公証人手数料の具体例(政令で定められた全国共通料金)

財産の価額手数料
100万円まで5,000円
200万円まで7,000円
500万円まで11,000円
1000万円まで17,000円
3000万円まで23,000円
5000万円まで29,000円

※財産の総額が1億円以下の場合は11,000円の「遺言加算」あり ※相続人ごとに計算して合算

参考 : https://www.koshonin.gr.jp/pdf/commission.pdf

料金計算例:財産3,000万円を妻と子2名で分ける場合

  • 妻1,500万円分:23,000円
  • 子A 750万円分:17,000円
  • 子B 750万円分:17,000円
  • 遺言加算:11,000円
  • 合計:68,000円 + 証人費用(1名1万円×2名)

久留米の実務情報

久留米公証役場

  • 所在地:久留米市中央町28-7 明治通3丁目ビル
  • TEL:0942-32-3307
  • 営業時間:平日9:00~17:00(要事前予約)
  • 証人2名が必要(利害関係者は不可)。証人手配は行政書士がサポート可能(1名約1万円)。

こんな人に向く

  • 不動産が複数、相続人間で争いが懸念、事業承継・遺留分調整が絡む等、確実性を最優先したい人。

4. 法務局の自筆証書遺言保管制度:低コストで”検認不要”へ

概要と長所

  • 自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)で預かる制度。原本・画像データで管理。手数料1通3,900円。
  • 検認が不要(「遺言書情報証明書」を発行)。
  • 改ざん・紛失のリスクを大幅に軽減。

注意点

  • 内容の適法性はチェックされない(”預かるだけ”の制度)。
  • 方式不備は依然としてリスク。作る前に文案チェックが安心。
  • 申請は原則予約制。空きがあれば当日の申込みも可能。事前に法務局担当者へ電話でご確認ください。

久留米の実務情報

福岡法務局久留米支局

  • 所在地:久留米市城南町21-5
  • TEL:0942-37-3074(登記関係証明書等問い合わせ)
  • 営業時間:平日8:30~17:15
  • 必ず本人が出向く必要あり(代理申請不可)

5. 検認が必要かどうかのライン

遺言の種類検認の要否手続きスピード
自筆証書遺言(自宅保管)必要1~2か月かかる
自筆証書遺言(法務局保管)不要すぐに手続き可能
公正証書遺言不要すぐに手続き可能

実務では、検認不要=相続手続きが早いというメリットが大きいです。金融機関・不動産の名義変更で差が出ます。


6. 久留米での”現実的な進め方”ロードマップ

  1. 家族構成と資産の棚卸し
    • 預貯金、不動産、保険、事業用資産
    • デジタル資産(暗号資産の秘密鍵、ネット証券口座、サブスク等)も忘れずに
  2. 骨子(誰に・何を・なぜ)をメモ
    • 付言事項(想い)も下書きに
  3. 方式の仮決定
    • 紛争予防最優先 → 公正証書
    • コスト最小+検認不要 → 自筆+保管
  4. 専門家に壁打ち相談
    • 遺留分や特別受益の論点、税務の着地を確認
    • 「方式選択のアドバイス」「問題点の洗い出し」が可能
  5. 正式文案→作成→保管
    • 公正証書=公証役場予約(2週間前が目安)
    • 自筆=法務局保管の予約(混雑時は早めに)
  6. 年1回見直し
    • 家族・資産・税制の変化に追随

7. ケース別の”おすすめ”と費用シミュレーション

ケース① 兄弟姉妹間で価値観が違う、不動産を特定の子に継がせたい

  • おすすめ:公正証書遺言(理由の記載・遺留分配慮・履行者指定まで)
  • 費用目安:財産1億円の場合→公証人手数料約10万円+証人・専門家費用は別途要見積

ケース② 小規模資産でまずは意思表示を残したい

  • おすすめ:自筆+法務局保管(将来、公正証書へ”格上げ”想定)
  • 費用目安:保管手数料3,900円+書類取得費

ケース③ 事業承継(会社株式・許認可・のれん)

  • おすすめ:公正証書+別紙で運営方針や遺言執行者指定
  • 費用目安:財産評価により変動。株式評価や承継計画書作成含め数十万円ほど

8. よくある失敗と対策

失敗例結果対策
日付が”令和○年○月吉日”無効リスク具体日付で記載
訂正を二重線だけで処理無効リスク所定の方法で訂正箇所を付記
保管だけして中身が不適切相続時トラブル保管前に文案チェック必須
検認を知らず封を開けた手続やり直し封をしないor専門家に相談

9. デジタル資産の記載ポイント

近年増加している暗号資産やネット証券については、以下の点に注意:

  • 暗号資産:取引所名と口座番号を記載(秘密鍵は別途エンディングノートで)
  • ネット証券:証券会社名と口座番号
  • サブスク・SNS:ID一覧と解約希望の有無
  • パスワード類は遺言書には書かず、信頼できる人に別途伝達方法を指定

10. まとめ:あなたの状況に最適な選択を

最短で”確実”をとるなら

  • 争いを避け、手続きを速く:公正証書遺言
  • 低コストを維持しつつ安全に:自筆+法務局保管
  • どれを選ぶにしても:作る前の文案チェック → 作った後の見直しがカギ

当事務所のサポート内容

行政書士 権藤涼太事務所では、以下を一気通貫でお手伝いします:

  1. 初回相談(60分無料)
    • 方式選択のアドバイス
    • 問題点の洗い出し
    • 概算費用のご提示
  2. 文案作成・チェック
    • 遺留分配慮
    • 執行者指定
    • 付言事項の文章化
  3. 手続きサポート
    • 公証役場との調整・予約
    • 法務局保管申請の同行支援
    • 証人手配
  4. アフターフォロー
    • 年1回の見直しリマインド
    • 法改正情報のご案内

まずは初回相談(60分無料)からどうぞ。久留米の方が、安心して”一歩”を形にできるよう伴走します。


【出典】法務省「自筆証書遺言書保管制度」、日本公証人連合会「公証人手数料」、福岡法務局、久留米公証役場(令和7年8月現在)

【免責事項】本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の事情により結論が変わる可能性があるため、実際の遺言書作成にあたっては専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

福岡・久留米を拠点に活動する行政書士。創業支援・補助金・許認可申請を中心に、小さなビジネスの立ち上げから法務面のサポートまで幅広く対応。WebメディアやSNSを活用した広報支援にも力を入れており、事業者の「想いをカタチにする」お手伝いがライフワーク。
このコラムでは、実務に役立つ情報や行政書士としてのリアルを発信中。

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