第17回小規模事業者持続化補助金の採択発表がありました ― 行政書士としての実感と今後への展望

申請準備から採択通知まで約3か月間の体験を通じて、審査のポイントや申請時の注意点が見えてきました。本コラムでは、採択結果のご報告とあわせて、申請プロセスで得られた実践的なノウハウをお伝えします。福岡県久留米市周辺で補助金申請を検討されている方や、第18回への挑戦を考えている方の参考になれば幸いです。

出典:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>」について、第17回公募の採択事業者を決定しました(令和7年9月26日)https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/saitaku/2025/250926001.html

目次

第17回採択結果のご報告

第17回小規模事業者持続化補助金において、当事務所の申請も無事に採択となりました。今回は申請件数が23,365件と前回の約3倍に急増し、採択率も51.0%という激戦でした。

申請書作成では、事業計画の数値根拠や地域課題との関連性など、審査要素を一つひとつ丁寧に検討する必要がありました。所属している商工会での事前相談を通じて計画をブラッシュアップし、最終的に提出に至った経緯があります。

この申請プロセスで得られた気づきや審査のポイントについて、今後お客様への申請支援でも活かしていければと考えています。

今回の申請内容と狙い ― 広報費(看板作成・設置)から学ぶ申請のポイント

今回申請に盛り込んだのは、看板作成・設置(広報費)です。

小規模事業者持続化補助金の手引きにおいて、「看板作成・設置」は広報費の対象経費として明記されています。久留米市花畑地区という立地を活かし、行政書士サービスの認知度向上から新規顧客獲得につなげる戦略として計画しました。

この申請を通じて改めて感じたのは、補助金の手引きを詳細に読み込むことの重要性です。対象となる経費は幅広く、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費など多岐にわたります。

「こんなものも対象になるのか」という発見が必ずあります。逆に「当然対象だろう」と思っていたものが実は対象外だったり、細かな条件があったりすることも少なくありません。手引きの対象経費例と対象外経費例を一つひとつ確認し、自社の計画と照らし合わせて検討することが、採択への確実な近道となります。

特に初回申請の方は、商工会や商工会議所での事前相談時に、計画している経費が本当に対象となるかを必ず確認することをお勧めします。適切な経費設定ができれば、審査での減点リスクを大幅に軽減できるからです。

第17回の採択結果と全体動向 ― 前回からの大幅な変化

今回の第17回では、全国での申請件数は23,365件に達しました。これは前回第16回の7,371件と比較して約3.2倍という驚異的な増加です。補助金制度に対する注目度が急激に高まっていることが数字からもはっきりと見て取れます。

一方で採択状況を見ると、第17回の採択件数は11,928件(採択率51.0%)となりました。前回第16回は採択件数2,741件(採択率37.2%)という厳しい結果だったことを考えると、申請数が3倍以上に増加したにもかかわらず、採択率が13.8ポイントも改善したことは注目に値します。

この変化が示しているのは、申請件数の急増により競争は激化したものの、予算枠の拡充や審査体制の改善により、より多くの事業者に採択の機会が提供されたということです。つまり「競争は厳しくなったが、しっかりとした申請書を準備すれば採択の可能性は十分にある」という状況と言えるでしょう。

必要以上に恐れるのではなく、冷静に準備し、審査の視点を押さえた計画を作れば、補助金交付を受けられる余地は十分にあると考えられます。

小規模事業者持続化補助金の概要と意義

私の体験を踏まえ、改めて制度の概要をお伝えします。小規模事業者持続化補助金は、全国の小規模事業者が販路開拓や業務効率化を目的に申請できる国の制度です。

  • チラシや広告の作成
  • ホームページやECサイトの開設
  • 店舗改装や設備投資

といった取り組みが対象となり、経費の一部が補助されます。補助率や上限額は類型ごとに異なりますが、事業の成長を後押ししてくれる心強い制度です。

ただし「お金がもらえる」だけではありません。申請書には事業計画を数値や根拠とともに示す必要があり、取り組みの意義や実現性を徹底的に検証されます。つまり補助金は、資金援助であると同時に「自分の事業を磨き直すための機会」でもあるのです。

採択後のステップと注意点

採択通知を受け取ったからといって、すぐに補助事業を始められるわけではありません。むしろここからの手続きが本番です。

1. 交付申請

採択通知を受け取った後、交付申請を行い、見積書など必要書類を提出します。

2. 交付決定通知の受領

交付決定が下りて初めて、対象となる経費を使い始めることができます。交付決定前に事業を始めてしまうと補助対象外となるため注意が必要です。

3. 補助事業の実施

計画に沿って補助事業を実施します。領収書や契約書、写真といった証憑資料を確実に残すことが後の実績報告につながります。

4. 実績報告・補助金交付

事業完了後には実績報告を提出し、審査を経て補助金が交付されます。

採択はスタート地点に過ぎず、交付申請から実績報告までを一つ一つ確実に積み重ねることが大切です。

今回の申請を通じて学んだこと

補助金申請を経験して強く感じたのは、次のような点です。

具体性の重要性 「やりたいこと」を書くだけでは不十分。ターゲットや効果を数字やデータで示すことが不可欠です。

地域性・社会性の強調 「久留米や福岡県内の地域にどのように貢献するか」が評価の大きなポイントになります。地域課題と事業計画をどう結びつけるかがカギです。

実現可能性の明示 理想論ではなく、現実的で実行可能なステップを示すことで信頼性が高まります。

準備の早さ 申請期間に入ってから慌てて準備するのではなく、日頃からデータや実績を蓄積しておくことが成功につながります。

これらは今後の申請にも共通して役立つポイントであり、行政書士として支援する際にも大きな武器になります。

第18回に向けて ― まだ間に合います

ありがたいことに、補助金申請については弊所にも継続的にご相談をいただいております。 「補助金に挑戦したいけれど、どう書いたらよいかわからない」 「一人でやるのは不安」

そんな声に一つひとつ対応しながら、申請から実績報告までを伴走支援するのも行政書士の役割です。

そして朗報です。第18回小規模事業者持続化補助金は、2025年10月3日から申請受付が開始され、11月28日が締切となっています。第17回で得られた経験や採択のポイントを踏まえ、次回挑戦される方にとっても十分チャンスはあります。

補助金は「特別な事業者だけのもの」ではなく、しっかり準備をすれば多くの方に開かれている制度です。久留米市内や筑後地域など周辺地域の事業者の皆さま、ぜひ気軽にご相談ください。

さいごに

第17回小規模事業者持続化補助金への採択は、当事務所にとっても一つの節目となりました。それは単に補助金を獲得したという結果ではなく、「自分の事業を言語化し、未来を描き直すきっかけ」を得たという意味でも重要です。

そして今回得られた知見は、次回以降に挑戦する方々を支援するうえで必ず生きてきます。久留米やその周辺で創業や事業拡大を考えている方、補助金に挑戦したいと考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

採択はゴールではなくスタート。これからも地域の事業者と共に歩む行政書士として、実務と支援の両面で挑戦を続けていきたいと思います。

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この記事を書いた人

福岡・久留米を拠点に活動する行政書士。創業支援・補助金・許認可申請を中心に、小さなビジネスの立ち上げから法務面のサポートまで幅広く対応。WebメディアやSNSを活用した広報支援にも力を入れており、事業者の「想いをカタチにする」お手伝いがライフワーク。
このコラムでは、実務に役立つ情報や行政書士としてのリアルを発信中。

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