開業まもない方も必見―ネット関連の営業契約を結ぶ前に確認したいこと

目次

― サインする前に確認したいことを行政書士が解説 ―

ホームページを公開したり、SNSの運用を始めたりすると、不思議なくらい営業の電話やメールが増えてきます。

「月に数回の掲載で大丈夫です」「SNS運用もお任せください」「集客に強いホームページを作ります」――開業まもない頃ほど、こうした誘い文句に出会う機会は多いものです。

インターネット広告やSEO対策だけでなく、ホームページ制作、SNS代行、集客サポートなど、ネットを活用したサービス契約は年々増えています。中には実際に役立つものもありますが、一方で契約後に解約できない・費用が想定以上に膨らむといったご相談が久留米・筑後地域でも多く寄せられています。

本記事では、依頼者さまが契約書を前に「これで本当に大丈夫?」と感じたときに、落ち着いて確認できるチェックポイントと、万一契約後に困ってしまった場合の対処法を解説します。


よくあるご相談例

  • 口頭では「月10〜15日程度」と聞いたが、契約書には「毎日サービス提供」と記載されていた
  • 「最低契約期間」があり、中途解約には高額な違約金が設定されていた
  • 「成果保証」のつもりで契約したのに、実際は「サービス提供のみ」で成果は問われなかった

※ここで紹介するのは一般的な事例です。契約内容・状況により結論は異なります。


契約前のセルフチェック(サイン前に確認したいこと)

□ 1. 最低契約期間は?

6か月・1年など長期縛りがあると途中解約は難しくなります。

□ 2. 解約方法は明記されているか?

「◯日前までに書面通知」など、具体的な解約手続きを確認。

□ 3. 違約金の金額や算定方法

「残期間×料金の◯割」など、具体的に計算してみると負担の大きさが分かります。

□ 4. 成果型か、サービス提供型か?

「来客増」「売上増」といった成果を保証するのか、単に「広告を出す・運用する」だけなのか、契約書で確認。

□ 5. 口頭説明との整合性

営業担当の言葉と契約書の記載を一行ずつ照らし合わせ、ズレがあれば修正依頼を。

ワンポイント:

当事務所では契約書チェックだけのスポット相談も承っています。サインする前に第三者の目で確認することで、余計なトラブルを未然に防げます。


契約後に困ってしまったら(落ち着いた対処手順)

Step 1|証拠を整える

  • 契約書に付箋やマーカーを入れる
  • 営業時の説明が分かるメール・メモ・録音を保全するなど記録を残す

Step 2|負担を減らす相談をする

  • 「サービス頻度を減らす」「期間短縮」「費用の見直し」など、柔軟な提案を試みる
  • 感情的にならず、確認質問→代替案提示の順で冷静に

Step 3|書面に残す

  • 契約条文と日付を明記した確認メールを送る
  • 必要に応じて内容証明郵便を検討することも視野に

Step 4|専門家へ相談

  • 行政書士は契約書の整理・通知文作成をサポート
  • 違約金が過大と考えられる場合は、民法420条3項を根拠に「減額の余地」を検討できます【契約内容や状況によって異なります】
  • ただし、契約後に裁判で全面的に無効とするのは容易ではありません。時間や弁護士費用を考えると、費用対効果の面で割に合わないことも多いのが実情です。
  • 実際には「交渉による妥協点探し」が現実的な解決策になります。

相手に角が立ちにくい”確認フレーズ”

  • 「契約書第◯条の“サービス提供頻度”は、月◯回程度の想定でよろしいですか。」
  • 「中途解約の条件について、金額と時期を改めて整理いただけますか。」
  • 「実績に応じてサービス内容を調整することは可能でしょうか。」

よくあるQ&A(簡潔版)

Q. 事業者間契約だと、消費者契約法は使えないの?

A. はい、通常は適用外で、基本は民法で判断されます。

Q. 違約金が高額に感じる場合は?

A. 民法420条3項により「平均的損害を超える部分は無効」となる余地があります。

Q. 行政書士に相談すると何をしてもらえるの?

A. 契約書チェック、通知文作成、交渉のための資料整理などを支援します。行政書士が代理交渉を行うことはできませんので、必要に応じて弁護士とも連携可能です。


行政書士のサポート

  • 契約書の事前チェック(リスク条項の洗い出し・修正提案)
  • 通知文・確認書の作成(メール雛形/内容証明案)
  • 交渉ポイントの整理(実際に相談者が話す順序・選択肢提示)
  • 創業支援の一環としての助言(補助金・融資との兼ね合わせもアドバイス)

ネット関連の営業契約は、一見すると魅力的な提案に思えても、契約書をよく読むと「最低契約期間」や「高額な違約金」など、解約や費用面で大きな負担となる条項が含まれていることがあります。契約書にサインしてしまった後は、原則としてその内容に拘束されます。不服として仮に裁判を起こしても「全面無効」までは難しく、違約金の減額などが限界となるケースも多く、費用や時間を考えると現実的には割に合わないことも少なくありません。

だからこそ大切なのは、契約前の段階でしっかり確認することです。営業担当の口頭説明に安心してしまうのではなく、書面に落とし込まれた契約条項を一つずつ点検し、「もし途中で解約したらどうなるのか」「違約金を計算するといくらになるのか」を冷静にイメージしてみることが予防につながります。

行政書士は契約の専門家として、事業者さまが契約書の内容を理解し、自ら判断できるようサポートします。相談は「契約書を持ち帰って確認する」ほんの10分からでも始められます。契約後に悩むより、契約前に立ち止まって確認する方が、結果的に大きな安心につながります。

久留米・筑後地域でネット関連の営業契約に不安を感じた際は、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。事業者さまの立場に寄り添い、トラブルを未然に防ぐための実践的なアドバイスをご提供いたします。

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この記事を書いた人

福岡・久留米を拠点に活動する行政書士。創業支援・補助金・許認可申請を中心に、小さなビジネスの立ち上げから法務面のサポートまで幅広く対応。WebメディアやSNSを活用した広報支援にも力を入れており、事業者の「想いをカタチにする」お手伝いがライフワーク。
このコラムでは、実務に役立つ情報や行政書士としてのリアルを発信中。

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