小規模事業者の皆様にとって販路開拓や業務効率化の強い味方となる「小規模事業者持続化補助金」。第18回の公募要領(第3版)が公開され、2025年度の制度がより一層使いやすく進化しています。久留米市を拠点とする行政書士として、地域の事業者の皆様に向けて最新の申請情報をお届けします。
第18回小規模事業者持続化補助金の概要
制度の目的
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓等の取組や、業務効率化(生産性向上)の取組を支援する制度です。物価高騰や賃上げ、インボイス制度など、小規模事業者が直面する制度変更に対応するための経費の一部を補助することで、地域経済の核となる小規模事業者の持続的発展を図ることを目的としています。
対象となる事業者
- 製造業その他:常時使用する従業員数20人以下
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員数5人以下
- 商工会会員・非会員を問わず申請可能
- 一定要件を満たす特定非営利活動法人も対象
【注意】医師・歯科医師・助産師や、系統出荷による収入のみである個人農業者等は対象外となります。
2025年度の主要な変更点
1. 経営計画の重要性が向上
2025年度から、申請者自身が自社の経営状況を深く分析し、具体的な目標や戦略を盛り込んだ経営計画の提出が重視されるようになりました。単なる販路開拓の申請ではなく、中長期的な視点での事業戦略が求められます。
2. 申請枠の整理・簡素化
複雑だった申請枠構成が見直され、以下の4つの支援類型に再編成されました:
- 一般型(通常枠):通常の販路開拓や業務効率化を支援
- 一般型(災害支援枠):自然災害や感染症等の影響を受けた事業者向け
- 創業型:創業間もない事業者向け
- インボイス特例・賃金引上げ特例:該当する事業者への上乗せ支援
3. 交付決定プロセスの変更(重要)
従来は「採択されればそのまま交付決定につながる仕組み」でしたが、第18回からは採択と交付決定が切り離される新方式が導入されています。
新しい流れ:
- 申請・審査・採択発表
- 採択後に見積書(相見積含む)を揃えて交付申請
- 交付決定後、初めて補助対象経費の支出が可能
この変更により、採択後すぐに経費を支出してしまうと補助金が受けられなくなるリスクがあります。従来のような柔軟な調整も困難になるため、申請段階での計画精度がこれまで以上に重要です。
4. 見積書の提出が必須
すべての補助対象経費について見積書の提出が必須となり、50万円を超える経費については複数業者からの相見積もりが求められます。
5. 申請システムの変更と申請方法の違い
一般型と創業型で申請方法が異なります:
- 一般型:Jグランツの専用画面上で申請内容を直接入力
- 創業型:Word形式の指定様式で申請書を作成 → PDF変換 → Jグランツにアップロード
創業型では従来のような画面入力ではなく、書類作成・添付方式となるため注意が必要です。
補助金額・補助率の詳細
通常枠
- 補助上限額:50万円
- 補助率:2/3
特例による上乗せ
- インボイス特例対象事業者:+50万円
- 賃金引上げ特例対象事業者:+150万円
- 両特例対象事業者:+200万円(最大250万円)
賃金引上げ特例の場合、補助率が3/4に優遇されるため、非常に有利な条件での申請が可能です。
第18回の重要な日程
- 公募要領公開:2025年6月30日(月)
- 申請受付開始:2025年10月3日(金)
- 事業支援計画書(様式4)発行受付締切:2025年11月18日(火)
- 申請受付締切:2025年11月28日(金)17:00
- 補助事業実施期間:交付決定日から2027年2月26日(金)まで
- 実績報告書提出期限:2027年3月10日(水)
※日程は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
重要:事業支援計画書(様式4)は商工会・商工会議所で発行を受ける必要があり、締切以降の発行依頼はいかなる理由があってもできません。また、補助対象者の要件を満たしていないと判断される場合も発行はできませんので、早めの相談が必要です。
申請の流れと必要書類
事前準備(必須)
- GビズIDプライムまたはメンバーの取得
- 暫定GビズIDプライムは使用不可
- アカウント取得に数週間かかるため早めの準備が必要
- 商工会・商工会議所での相談と手続きの違い
- 事業支援計画書(様式4)の発行申請
- 経営計画の内容確認とアドバイス
- 商工会地区:システム内で発行依頼 → 承認後システムに自動反映
- 商工会議所地区:必要書類を持参 → 承認後メールでPDF受領 → 電子申請システムにアップロード
主な申請書類
- 申請書(様式1-1)
- 経営計画書兼補助事業計画書(様式2-1)
- 事業支援計画書(様式4)※商工会・商工会議所発行
- 補助事業計画書(様式3-1)
- 経費明細書(様式5)
- 見積書(すべての補助対象経費)
- 会社概要・決算書等
久留米・福岡地域での申請のポイント
地域性を活かした計画立案
農業・食品関連事業者
- 久留米の豊富な農産物を活かした6次産業化
- 地産地消を軸とした販路開拓
- 観光農園や直売所との連携強化
製造業
- 久留米地域の伝統工芸技術のデジタル化
- 福岡市圏への販路拡大
- 海外展開を見据えたブランド力向上
サービス業
- インバウンド観光客への対応強化
- 高齢化社会に対応したサービス開発
- DXによる業務効率化
成功する申請のコツ
- 具体的で数値化された目標設定
- 売上向上の具体的な数値目標
- 新規顧客獲得数の設定
- 効率化による時間短縮効果
- 地域性とオリジナリティの明確化
- 久留米・福岡ならではの強み
- 競合他社との差別化ポイント
- 地域貢献への具体的な取組
- 実現可能性の高い計画
- 段階的な実施スケジュール
- リスク対策の明記
- 継続性・発展性の説明
よくある申請上の注意点
経費計上の注意点
- 対象期間外の経費は認められません
- 個人の生活に関わる経費は対象外
- 既に発注済みの案件は対象外
- 汎用性が高すぎる設備は原則対象外
創業型申請の特別要件
創業間もない事業者(決算期未到来)が創業型で申請する場合、以下の追加書類が必要です:
個人事業主の場合
- 開業後の売上実績を示す売上台帳等(任意様式)
法人の場合
- 収益事業開始届出書の写し
- 法人設立後の売上実績を証明する台帳等(任意様式)
- 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
行政書士によるサポートの重要性
小規模事業者持続化補助金の申請は、経営計画の策定から申請書類の作成、事業実施後の報告まで、非常に多岐にわたる手続きが必要です。特に2025年度は制度変更が多く、専門家のサポートを受けることで採択率を大幅に向上させることができます。
当事務所では、久留米・福岡地域の事業者様の特性を理解し、地域性を活かした効果的な申請サポートを提供しております。
- 経営計画の策定支援
- 申請書類の作成・提出サポート
- 採択後の交付申請や実績報告まで一括対応
- 不採択後の再チャレンジ支援にも対応
初めての申請で不安がある方や、過去に不採択となった事業者様も安心してご相談いただけます。
まとめ
第18回小規模事業者持続化補助金は、制度の簡素化と質的向上により、真に経営改善に取り組む事業者にとってより使いやすい制度となりました。一方で、経営計画の充実化や見積書の必須化など、申請に必要な準備はより詳細になっています。
早めの準備と適切な計画立案により、補助金を活用した事業発展を実現していきましょう。申請に関するご相談は、地域に根ざした行政書士として、皆様の事業成長を全力でサポートいたします。
※本記事は2025年8月現在の情報をまとめたものです。制度内容は改訂される場合がありますので、最新情報は公式公募要領をご確認いただくか、行政書士など専門家へお問い合わせください。
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