〜「やりたいこと」に、仕組みで追い風を〜
事業を始めた当初、正直なところ「補助金」という言葉にはあまり現実感がありませんでした。
資金の課題は常に頭のどこかにありつつも、「制度のことは難しそう」「うちのような小さな事業には縁遠いかもしれない」と思い込んでいた部分があったのだと思います。
しかし数年が経ち、雑貨カフェとしての営業が少しずつ地域に根付き、「いつかもっと自分らしいスタイルで専門的な支援も提供できたら」と考え始める頃──目に留まったのが、この【小規模事業者持続化補助金】という制度でした。
この補助金は、商工会または商工会議所の支援を受けながら申請を行い、広告費や設備投資、展示会出展などの経費に対し上限50万円(特定枠では100万円以上)までの補助が受けられるというものです。何より魅力的だったのは、「販路開拓」や「事業再構築」といった未来志向の取り組みを、資金面でサポートしてくれる点でした。
私自身、今回は「雑貨カフェとは別に新たに行政書士事務所を立ち上げる」という大きな転機において、地域の方々へ“業務開始をきちんと伝える”ための【看板設置】を補助対象として申請しました。これは単なる装飾や広報ではなく、業際を意識しながらも、安心して相談できる空間として「法務の窓口」をきちんと区別し提示する──そうした意思表示でもあります。
■ 書類作成は「事業の棚卸し」
申請には、事業計画書の作成や経費の明細提出、補助事業の効果予測など、かなりの準備が必要です。一見ハードルが高く見えるかもしれませんが、実はこれが“事業の棚卸し”になるという点で、大きな意義がありました。
「なぜ今この取組を行うのか」「将来どのような成果を見込むのか」──普段は頭の中に留めている構想を、言語化するプロセスは、自分自身の事業ビジョンをより明確にしてくれました。
また、商工会の担当者との面談や添削も非常に心強く、客観的な視点でのフィードバックを受けながら、内容をブラッシュアップしていく過程はまさに「伴走支援」そのもの。今回の採択に向けた申請を通じて、地域の支援機関が中小事業者にとっていかに頼もしい存在かを実感しました。
■ 補助金は“ゴール”ではなく、“きっかけ”
今回の補助事業は、行政書士業務としての事業立ち上げの基盤を整える「きっかけ」です。看板ができればすぐにお客様が増える、という単純な話ではありません。
ですが、まずは「伝わる」「気づいてもらえる」ための基礎設計──これは特に個人事業・小規模事業にとって重要な投資だと感じています。また、「補助金は難しそう」と思っていた以前の自分と同じような方に、今後は専門家として寄り添いながら制度をわかりやすく案内できるよう、自身の体験を強みに変えていけたらと考えています。
SNS時代の今、開業支援や販路開拓の方法も多様化しています。けれど、“制度の活用”という観点では、まだまだ知られていないことも多いのが現実です。補助金や融資、各種届け出といった「やる気の裏付け」になる制度を、もっと身近なものとして伝えていきたい──そう思わせてくれたのが、この小規模事業者持続化補助金との出会いでした。
■ 最後に──一歩を後押ししてくれる制度
この補助金は、単に資金を支援する制度ではなく、「事業の方向性を見直す機会」や「誰かと一緒に未来を描く機会」でもあると感じています。
今後、私自身が行政書士として地域や個人事業主の皆様に伴走支援をしていく中で、この経験は必ず役立つはずです。制度の存在を知り、使いこなし、地域や自身の可能性を広げる──そんな支援の入口として、小規模事業者持続化補助金はとても有効な一歩になると確信しています。
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